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Lee-Byung-hun addicted

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第15話2006/12

『I'll dream of you again』 scene15



「ああ・・疲れた疲れた。やっぱ家が一番だわ・・」揺はそういうとリビングのソファにドスンと腰掛けた。
「まあ、二回に分けただけあって客の人数もちょうどよかったし。なかなかいい式だったんじゃない」ビョンホンは向かいのソファに腰を下ろすと苦しそうにネクタイを緩めた。
「うん。お料理も美味しかったしね。」と揺。
「うん。パエリア結構いけた」
「そうそう。お肉も美味しかったわよね。」
「あとデザートも変わってたよな・・・・」
「あんたたちさぁ~。もうちょっと花嫁が綺麗だったとかあんなお式してみたいとか・・・こう・・・ロマンチックなこと言えないわけ?」
呆れたように不二子が言った。
「もちろんウナさんは最高に綺麗だったわよね・・ビョンホンssi実はちょっと後悔してたりしない?」
「何が?」
「もう・・・しらばっくれちゃって」揺は意地悪そうにビョンホンを横目で見た。
「えっ、何それ」不二子が興味津々に訊ねる。
「えっ、実はね・・・」
「へぇ~。ビョンホン君あの綺麗なお姉ちゃんとこのガサツな揺ちゃん天秤にかけてこっち取ったの・・・本当に変わってるわ・・・・」不二子がゲラゲラ笑いながら言った。
「ちょっと不二子さん酷い・・」ふてくされる揺。
「ええ。僕の趣味は変わってますから。僕にとっては揺は最高の女性なんですよ。こんなですけど。」ビョンホンは笑って言った。
「こんなですけどってどういう意味よ。失礼しちゃうわね。」そういいながらも最高の女性といわれて嬉しそうな揺だった。
「さて、じゃ私は帰るね。おばあちゃんの荷物も片付けたから。皆ホテル泊まりだから今夜は二人っきりだね・・・ふふふ」
「ちょっと・・不二子さん。もう・・・やだな。」揺は恥ずかしそうに言った。横でビョンホンがニヤニヤ笑っている。
「もう・・・とにかくお疲れ様でした。いろいろありがとう。」と揺。
「じゃ、楽しい聖夜を・・・・」不二子はそういい残しトメの家を後にした。
「さてと・・・・」


「・・・・・」
「いやだ。あんまりジロジロ見ないでよ。」
揺はそういうとかけていた黒のセルフレームのメガネをはずして目をこすった。
「ん?だってこうやって仕事に熱中する君を横でじっと眺めるなんて今までなかっただろ。何だか新鮮で・・ちょっとドキドキする。思っていた以上にいい女だ。」
「いやだ・・・もう。何だか恥ずかしいな。でもゴメンネ。ビョンホンssi。折角クリスマスに二人っきりになれたのに・・相手できなくて。よりによって明日が締め切りの仕事が急に入っちゃうなんて。もうすぐ終わるから先に休んでて」
「ああ。ま、クリスマスだって二人きりの夜だってこれからいくらだってあるさ。僕は適当にしているから頑張って。そうだ。コーヒー入れてくるよ」
ビョンホンはそういうと揺の部屋を後にした。
「じゃ、もう一息頑張るかっ!おっしゃぁ~!」揺は気合を入れなおすとメガネをかけなおしPCに向かった。
「・・・・はい。コーヒーお持ちしました。ミルク入れておいたよ。」
ビョンホンはPCの前の揺の後ろに近づくとそう言ってマグカップを机に置いた。
そして揺の肩越しから首筋に優しくキスをする。
「どんな映画なの?」ビョンホンはそう訊ねると彼女のPCの画面を覗いた。
「ん?おじいちゃんと女の子のヒューマニズム溢れるお話・・いいお話だけどあなたが演じるにはまだ早すぎるわね。」揺はそういってリターンキーを押し彼が入れてくれたコーヒーを一口飲んだ。そして
「美味しい」といってにっこりと笑った。
「ねえ、揺休憩しないの。」彼女が無性に愛しくなったビョンホンは彼女の耳元でそうささやくと彼女の首筋に熱い唇を這わせた。
「・・・・・・・・あ・・・・・だめだめだめだめ。はい。そこまで。ビョンホンssi
いい子にしてないとご褒美あげないわよ。」
彼に連れて行かれそうになった揺は必死で踏みとどまって笑いながらそう抵抗した。
「わかってるって。冗談だよ。冗談。邪魔しないから・・ね。ほら頑張って・・・」
ビョンホンはそう言って両手を上げソファに腰掛けた。
「・・・・・・・・・・・・」
揺がキーを叩く音と彼が本のページをめくる音・・・時計の音とヒーターの音だけが静かな室内に響く。
「いやだ・・寝ちゃった」
必死で仕事をしている揺がふと顔を上げるとビョンホンがソファで居眠りをしていた。
そっと立ち上がり揺は彼にやさしくブランケットをかけた。
「お休み・・ビョンホンssi・・・」揺はそう小さな声でつぶやくと大きな伸びをしてまた椅子に腰掛けた。

数時間後。
「・・・はぁ・・終わったぁ~~~」揺が思い切り伸びをした。
「あ・・終わったの。」うたた寝していたビョンホンは揺の声に気づいて伸びをした。
「ごめん、起こしちゃった・」
「ううん。揺が終わったら起きないと。ほら、こっちおいで」
ビョンホンは自分のブランケットの中へ手招きをした。
「うん。」揺は嬉しそうに返事をすると彼の懐に飛び込んだ。
「あったか~い。」
「だろ?君のために温めておいたんだ。こんなに冷たい手して。」彼はそういって揺の手をとると自分の手でこすりながらはぁ~っと息を吹きかける。
嬉しそうに微笑む揺を見て満足そうに微笑み返す彼。
「・・・・さてと。じゃあ・・・今度は君が僕を暖める番だ。」
彼はそういうと優しく揺を抱きしめキスをする。
「メリークリスマス」二人は見つめあいそう一言。
狭いソファの上から毛足の長いフワフワの絨毯の上に転がるように落ちる。
古いオイルヒーターの静かに動く音と二人の愛し合う声が柔らかに温まった部屋の中に響く。窓の外はもう白み始めていた。


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